リチウムイオンキャパシタ(Lic)とは、一般的な電気二重層キャパシタの原理を使いながら負極材料として リチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでエネルギー密度を向上させたキャパシタです。正極と負極とで充放電の原理が異なり、リチウムイオン二次電池の負極と電気二重層の正極を組み合わせた構造を持っています。正極と負極の原理が異なる非対称キャパシタの一種で、電気二重層キャパシタの正極とリチウムイオン二次電池の負極を組み合わせた構造になっており、正極が電気二重層を形成し物理的な作用で充放電するのに対し、負極はリチウムの酸化還元反応によって充放電します。従来のキャパシタに比べてエネルギー密度が高いのは、この負極へのプレドーピングによって負極の静電容量が増大されていることが大きく起因しています。
リチウムイオンキャパシタ(LIC)は高い出力密度と高いエネルギー密度を兼ね備えた新しい蓄電デバイスです。類似の蓄電デバイスである、電気二重層キャパシタ(EDLC)およびリチウムイオン電池(LIB)と比較してその特性をご紹介します。
リチウムイオンキャパシタ | 電気二重層キャパシタ | リチウムイオン電池 | 鉛蓄電池 | |
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エネルギー密度 | 中程度(高出力時は高い) | 低い | 非常に高い | 高い |
出力密度 | 高い | 高い | 低い(急速充放電が苦手) | とても低い |
充電性能 | 秒単位の充放電が可能 | 秒単位の充放電が可能 | 充電に時間を要する (充電管理が必要) |
充電に時間を要する (リフレッシュ充電が必要) |
内部抵抗 | 低い(−30℃使用可能) | 低い | 高い | 非常に高い |
低温特性 | 良い | 良い | 非常に悪い | 悪い |
高温特性 | 非常に良い(上限70℃) | 良い | 非常に悪い | 非常に悪い |
自己放電 | 少ない | 多い | 少ない | 多い |
保守性 | メンテナンスフリー | メンテナンスフリー | 保守管理が不可欠 | 保守管理が不可欠 |
寿命(フロート、サイクル) | 長い | 長い | やや短い | 短い(突然死あり) |
安全性・可燃性 | 高い・あり | 高い・あり | 低い・あり(自己発熱/発火) | 高い・無し |
適合分野 | 非常に高出力(中エネルギー) | 非常に高出力(低エネルギー) | 中出力(高エネルギー) | 低出力(高エネルギー) |